著者:小林道憲
ページ数:15

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現代文明は、自然と人間の対立から、自然の征服を目指すことから始まった。とともに、現代人は自然から離反し、自らの内部からも自然性を喪失していった。現代の思想や芸術も、それを反映している。
確かに、現代は、自然への復帰や自然の保護が叫ばれているが、これもなお、人間の方から自然の中へ突入し、人間の手によって自然を保護しようとする思想であり、自然の征服の思想の裏返しにすぎない。自然の資源化には変わりはない。
現代文明の中に自然の略奪の思想を見る現代文明論。
(小林道憲〈生命の哲学〉コレクション6『欲望の体制』 ミネルヴァ書房 2017年 所収)

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