著者:堀江匡平
ページ数:52

¥1,250¥0

コストコホールセールコーポレーションは、ウォルマートに次ぐ世界第二位の小売業者で、同社は、主に「コストコ」の名称で会員制倉庫店をグローバルに展開しています。ブランド商品、品質、従来の小売店で目にする価格よりも競争力のある商品を取り扱っており、コストのかかる広告を出さずに新規顧客を獲得するコストコの能力は、世界中で最高の小売業者の一つとなっている主要な理由です。
 コストコブランドの圧倒的なシェアは、コストココミュニティの草の根的な情熱から生まれています。コストコの会員は、提供する商品、特にカークランドのプライベートブランド商品を高く評価していて、ナショナルブランドと同等の品質で「より安価な」商品への期待に応えています。これにはコストコファンの存在が非常に大きいです。コストコは公式フェイスブックページを持っていませんが、顧客がファンページを作成していて、そのうちの一つには約5万人のファンがいます。コストコのライバルであるBJsホールセールクラブのフェイスブックファンページには、わずか200人のメンバーしかいないことを考えると、コストコミュニティの影響力の大きさは計り知れません。また同社は、他の小売業者よりも高い賃金とより良いアメニティを従業員に提供することで、常に評価されていて、コストコの2019年の世界純利益は、36億7000万ドルに達し、従業員数は世界中で合計約25万4000人となっています。主な競合他社は、ウォルマート、ダラー・ジェネラル・コーポレーション、J.C.ペニー・カンパニー、ターゲット・コーポレーションなどがあります。
 本書は、コストコの成功の秘訣について学べる一冊になっています。特に注目していただきたいのは、高賃金で従業員に寛大な部分です。近年の日本では、物価高騰に伴い、低賃金の問題が浮き彫りになっています。いくら働いても賃金は上がらないのに、物価はどんどん上がり、日々の生活もままならない。こうした状況において、国全体として賃上げが叫ばれています。そのため日本企業は、高賃金を支払っている企業について、その哲学やマインドを知った上で賃金を上げたり、従業員に手厚い福利厚生を提供することが重要です。ただ単に賃金を上げたとしても、優秀な人材の確保も流出の阻止も難しいものです。株主よりも顧客・従業員を優先していると言われるコストコを知ることで、ユニークな考え方に触れてもらえればと思います。さらに、コストコの財務分析によって、同社の強みや弱みも見ていきます。そして、日本において成功を収めているコストコが、なぜ成功したのかについても説明しています。これまで日本市場にコストコのような外国の小売業者が参入していますが、コストコとウォルマート傘下に入った西友の他は、日本の小売市場から撤退しています。さらに興味深いのは、コストコのビジネスモデルは、撤退した海外の小売業者とほとんど変わらないということです。この点について説明をしていくことで、コストコの成功の秘訣を知ることができるでしょう。

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