【無料で読める】幼稚舎から慶應医学部へ: 内部進学の最難関を目指す

幼稚舎に入学すればエスカレータ方式で慶應大学を卒業する事ができる。
この何よりのメリットの為に、毎年激しいお受験戦争が繰り広げられる。
成績不良で退学さえしなければ慶應大学に進めるのは事実であるが、どの学部でも入れるわけではない。
成績上位者から振り分けられるシステムである。
理系トップは医学部、文系トップは法学部だ。
成績下位者には人気学部のイスは残っておらず、仕方なく文学部などに進むケースが多い。
幼稚舎には医者の子息も多く在籍しており、その親は我が子にも医者になることを望んでいるケースも多々ある。
しかし、内部進学で慶應医学部へ進むのは非常に狭き門である。
枠が少ないだけでなく、問題は周りの空気だ。
入学と同時に受験勉強から解放された幼稚舎生にガリガリ勉強する空気はなく、学校側もそれを求めていない。
そういった環境の中で強い意志を持ち続けるのは至難の技である。
しかも高校の成績で進める学部が決まる為、医学部受験とは毛色がまったく異なる対策をしなくてはならない。

この本は、幼稚舎に入り内部進学で慶應医学部を目指した子供の話である。
医者の父親から医者になることを強く求められ続けた少年の運命とは——