著者:加納正二
ページ数:138

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 尾張藩7代藩主徳川宗春、5代将軍徳川綱吉、老中田沼意次の3人は、時代劇では常に悪役ですが、この3人の悪役をドラマの中でとはいえ、常に悪者扱いするのは少し可哀そうすぎるように思います。ドラマは正義と悪を対決させて、話をおもしろくさせるために、悪役は徹底的に悪者にされてしまいます。
 しかしながら、この3人の経済政策は先見性のある注目すべき画期的な政策ですし、彼らには人間的な魅力があります。本書では、この3人の人間的な魅力や革新的な経済政策について述べたいと思います。
 本書は4部構成で以下のような内容になっています。

第1部 尾張藩主 徳川宗春
 尾張藩7代藩主徳川宗春は時代劇では常に8代将軍徳川吉宗の足をひっぱる嫌な人物として描かれています。
宗春は尾張藩主就任時に『温地政要(おんちせいよう)』を著し臣下に配布しました。これは今日ではマニフェスト(公約)ともいえる新しいやり方で、真に国民のことを思う慈悲にみちた内容です。

第2部 宗春の『温地政要』超訳
 宗春の『温地政要(おんちせいよう)』の内容を加納正二による超訳で解説し、宗春が当時としては世界レベルでも珍しい死刑廃止論者であったことや、女性や若者に対する気配りもあり、人権意識も高く、その人間味あふれる人柄を紹介します。

第3部 将軍綱吉
 5代将軍綱吉は時代劇では、悪役というよりもむしろ「馬鹿殿」扱いされる可哀そうな将軍です。天下の悪法とされる「生類憐みの令」のために、綱吉は犬将軍とか犬公方と揶揄されます。
 しかし、人の命の大切さを説き、社会福祉政策に先鞭をつけた人権意識の高さは評価できます。また、この時代にアルコール・ハラスメントの禁止令を出したのは、非常に先見の明があります。
経済政策では、元禄の貨幣改鋳は、貴金属の含有量を減らし、実物貨幣から名目貨幣への移行の契機となった大きな幣制改革であり、新しい試みは評価できます。
 
第4部 老中田沼意次
 時代劇では、老中田沼意次といえば、「袖の下」、つまり賄賂の政治家のイメージが強いのです。しかし、田沼の経済政策は画期的です。また田沼の自由な空気は、学問・文化・芸術を活発にしました。
 昨今、話題になるパラレルワークもこの時代は活発で、狂歌師の大田南畝(四方赤良、蜀山人)が活躍した時代でもあります。
 田沼は非常に革新的なアイディアマンです。田沼がもっと長く政権を握っていたならば、近代化はもっと早いテンポで進み、明治維新はもっと早くきただろうと考えられます。

著者紹介
加納正二(KANO Masaji)
略歴
大阪大学助手、大阪府立大学教授等を経て現在、岐阜聖徳学園大学経済情報学部教授、
大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程修了、博士(国際公共政策)
専門は日本経済論
江戸時代の日本経済の著書
『江戸の働き方と文化イノベーション』三恵社
『江戸の経済社会と商人の生きざま』三恵社
『5代将軍綱吉は犬将軍か大将軍かー綱吉と元禄時代―』敏貞社
現代日本経済の著書
『サステイナブル企業の精神分析 老舗企業の経営者はなぜ信仰心が篤いのか』敏貞社
『仏教経済学の新視点』敏貞社
『内向型人間の経済学』敏貞社
『令和新時代の金融知識―就活学生と新社会人のために―』三恵社
『日本経済の軌跡と明日―高度成長から令和新時代まで―』三恵社
『令和の日本経済と企業経営の課題―誰もが主役になり自分らしく生きる時代―』三恵社
『地域密着型金融の限界とフィンテック』三恵社
『リレーションシップバンキングと地域金融』日本経済新聞社(共著)
『地域金融と企業の再生』中央経済社(共著)中小企業研究奨励賞準賞
『京都の地域金融』日本評論社(共著)
『経済学・経営学・法学へのいざない』大阪公立大学共同出版会(共著)
『新版 経済学辞典』中央経済社(共著)

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