著者:山田太一
ページ数:50

¥580¥0

新型コロナウイルスの感染拡大によって採用環境が激変する中、一つのヒントとなるのが「採用コンテンツマーケティング」である。どのように潜在的な求職者とコンタクトし、関係性を構築していくのか。また、どのように自社の社員のエンゲージメントを高めていくのか。新たな時代の採用メソッドを丁寧に解説する。

<「はじめに」より>
 本書は、採用目的のコンテンツマーケティングについて、ノウハウを解説したものです。

 クマベイスでコンテンツ制作、コンテンツマーケティングのコンサルティングに携わる筆者ですが、新聞記者を経て、以前
は人材採用広告会社で営業担当として勤めていました。学生時代の就職活動ではマスコミ一本で活動していたこともあり、「業界研究をして、説明会に参加して、内定を何社か経て検討する」といった、多くの学生が経験するような就職活動を行ったことがありません。

 そんな自分が人材採用の業界に飛び込んでまず感じたことが、「求職者に与えられる情報が少ない」ということです。正確にいうと「情報が少ない」ではなく、「情報がぼやけている」という印象でした。

 新型コロナウイス感染症の影響で採用を控えた企業が見られるものの、現在の採用市場は新卒、中途問わず求職者側が有利な立場に立っている「売り手市場」との見方が一般的です。筆者が出会ってきた新卒採用担当者の多くが「今は学生が強い時代だから」と話し、「いかに学生(求職者)に選んでもらえるか」と、まるで求職者を〝お客様〟のように扱っていました。

 求職者の立場が圧倒的に強く見えますよね。でも、個人的には必ずしもそうではないと感じています。どんなに売り手市場であっても、企業は「選ぶ立場」であることが一般的で、求職者は「選ばれる立場」となります(業界によっては必ずしも当てはまらない場合もありますが)。一般的な商品やサービスであれば、企業が顧客を選ぶということはありません(高級ブランドの場合は結果として企業が顧客を選ぶケースもあります)。しかし、採用活動においては企業が選ぶ立場となります。

 100人応募があっても、1人しか応募がなくても、最終的には企業が求職者を選ぶことに変わりはありません。企業が「どうしても買いたい」という顧客に対してプロダクトを売らないことは考えにくいですが、「どうしても入社したい」という求職者を不合格にすることはよくあることです。

 このように企業側が強い立場になりがちな状況のなかで、採用側と求職者側では、「情報量」に圧倒的な差が生まれます。
企業は自分が伝えたい情報ばかりを積極的に発信するようになりがちで、求職者から見て印象の良くない情報は隠そうとしてしまいます。残業時間や福利厚生など基本的な職場環境について隠す企業はあまり見られなくなりましたが、職場の雰囲気など数字に表れない部分はある程度の情報の〝加工〟の余地があります。

 しかし、求職者が加工された情報をそのまま受け取る可能性は低いといえます。職場の口コミ情報サイトやSNSなど、現場の隠れた声を聞くことは容易になっているためです。

 筆者が「ぼやけている」と表現した理由は、この加工された情報にあります。つまり、求職者にとって本当に必要な情報、有益な情報が伝わっていないと感じていたのです。

 採用に携わるなかで違和感を持っていた部分でしたが、「オーディエンスにとって有益な情報を、適切なタイミング、適切な手法で伝える」というコンテンツマーケティングに触れたことで、「この考え方は採用にも応用できるのではないか」と感じました。

 しかし、国内で出版されている採用ノウハウ本には、筆者が見る限りコンテンツマーケティングを採用活動に応用したものは見られませんでした。マーケティングの考え方を応用しているものはありますが、それも多くないように思いました。
そこで、コンテンツマーケティングの考え方を採用活動に置き換えた「採用コンテンツマーケティング」についてまとめられたものがあればと思い、本書の出版に至りました(コンテンツマーケティングそのものの概要については拙書「海外コンテンツマーケティング実践事例集」をご参照ください)。

 本書ではまず、採用市場の現状から、なぜ採用コンテンツマーケティングが必要なのかについて考察しています。次に、採用コンテンツマーケティングの基本的な考え方について解説し、最後に事例を紹介していきます。
採用コンテンツマーケティングは、通常のコンテンツマーケティングと同様、企業の価値を高めるアプローチでもあります。採用活動に携わる方々にとって、本書が日々の業務の助けとなれば嬉しく思います。

<目次>
採用コンテンツマーケティング
はじめに
採用市場の現状
学生のマインドは「楽しく働きたい」から「人のためになる仕事がしたい」にシフトしている?
コロナがもたらした新卒採用市場の急激な変化
ジョブ型雇用が広がりインターンシップも変化していく
コロナは中途採用市場にも変化をもたらした
イベント開催が難しくなるからこそコンテンツマーケティングの考え方が大切
コロナ禍でなくても採用コンテンツマーケティングが必要な理由
採用コンテンツマーケティングの考え方
今こそ採用にコンテンツマーケティングを取り入れよう
潜在層と「入社後」向けのコンテンツを充実させる
採用コンテンツマーケティングもペルソナ設定から
キャンディデイトジャーニーマップ
採用における自社のポジショニングを意識したコンテンツを考える
採用にもブランディングが重要
自社のストーリーを語る重要性
採用コンテンツにも使えるブランドジャーナリズム
EVP(従業員価値提案)とは何か
候補者体験を高めるコンテンツ
採用成功のためミッション共有のコンテンツを
採用とSNS
「オヤカク」のために必要なコンテンツ
ポッドキャストの可能性
採用コンテンツマーケティング事例
認知段階では求職者全般に役立つコンテンツを
ブランドジャーナリズムは認知段階で有効な手法
検討段階ではEVPを考慮する
ストーリーの力で求職者の背中を押そう
自社に関するネガティブ情報は隠せない
志願段階にいる求職者に対してはキャンディデイトエクスペリエンスを念頭に置く
選考段階では面接に対する不安を取り除く
入社後のコンテンツ制作ではコンテンツマーケティングの手法や考え方をフル稼働させる
おわりに
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