著者:北田 一正
ページ数:360

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[商品について]
―農民詩人の壁を超えようとした詩人が見つめ続けた、戦後の農と日本―
実験的な風刺詩や若々しさと未来への予見に満ちた庶民詩である「一つの農民像」、自然をうたう詩の中に農民の純朴さが見える「だんだん畑」など、日本の農業が大きく変わりゆく時代の中で、農をモチーフに独自の世界を表現し続けてきた詩人・北田一正。農民詩をはじめ評論、エッセイなど高く評価されるその多彩な文学世界を、これまで発表された作品と北田に関する評論を付してまとめた、知られざる農民詩人の傑作詩集。

[目次]
北田一正詩集
乾燥列島 北田一正詩集 一九六七・一二・一〇
名阪国道
荒涼原野
冬の点景
ある冬の夜

乾燥列島
農民未來考(一)

早春譜
村の反骨五態
農民未来考(二)
五月の村へ
農民未来考(三)
農民未来考(四)
農民未来考(五)
夏の断章
モノローグ
走 る
ベトナムの朝 メコンはうたう
現代先進農民像
メカニズム崩壊
モノローグ・2
乾燥地帯
冬の挽歌
一つの農民像 北田一正第二詩集 一九六八・一二・一〇
イルクーツクの村から
日本酪農概論(1)
一つの農民像(1)
日本酪農概論(2)
小百合は生意気だから
日本酪農概論(3)
一つの農民像(2)
日本酪農概論(4)
早 春
日本酪農概論(5)
時間の恐怖
日本酪農概論(6)
少 年
ひつじぐさ
八月のある日
一つの農民像(3)
四つの詩
街 で
一つの季節

もう一つの空
ある日 ある時
一つの農民像(4)
赤とんぼ


日本酪農概論(7)
荒 野 北田一正個人詩誌 一九八一・四~一九八四・一一
冬の月
一 葉
おはなし・1

夜はやっぱりあるほうがよい
だんだん畑 上野青年えんぴつグループ 一九五七・一~一九六一・一〇
「ごぼう」のうた
スケッチ
コール・タール
雨にぬれて
返 信
除 草
破れ塀
志摩にて
反 省

谷間の恋人 ―リスによせて―
病床にて
〝だんだん畑〟に寄せる「詩」
黒い雨
気違いは部落だけじゃない
柴を刈る
谷間の恋人たち
牛(その一)
牛(その二)
農 民
S子さん

日 記

ファイヤーを囲んで
恐 怖
祈 り
朝 霧

ある姿勢
遠い記憶
ぼくのすきなおんなの子
母の手
村のアパート
乾燥地帯

炎天突破
大阪平野を行く
空について
農婦のうた
病める村
上野詩人 上野詩人の会 一九六二・一二~一九七一・二
雪の夜・村の娘たちよ
冬 寺(ふゆ でら)
〈村〉
午後の村
病相の村
虹の少女
農民不在考
北方の友へ
米をつくる アジアの村から
街路樹・愛について
ある地方都市にて
早 春
三重県詩集・ほか
夏・祖父の死

冬の村から
春の姿勢
評論・ほか
乾燥列島 一九六七・一二・一〇
東出つとむ詩集「肖像の声」出版の周辺
「原始」から「近代」と「現代」
「レモン哀歌」その後
村からの報告①  再び普及員無用論
村からの報告② ある出版記念会から
北田一正詩集・乾燥列島 あとがき
一つの農民像 一九六八・一二・一〇
三重の農民詩 =中井正義氏への反論=
北田一正第二詩集・一つの農民像 あとがき
荒 野 一九八一・四~一九八四・一一
横光利一断章  「青葉のころ」をめぐって
詩集寸描  土 偶  向井清子著
KOUYA 一号 あとがき
晩秋の小春日和のある日 名張桔梗丘高校グラウンドでU高の2ラン・スクイズを見る
荒野 二号 あとがき
福永正三「秘蔵の国」の衝撃  昨年のある日 一行の死亡記事から
詩集寸描 わりずけ大根 北条たか著
荒野三号 あとがき
現代を活写する科学者の眼  黛 元男詩集「沖縄の貝」を読む
荒野四号 あとがき
だんだん畑 一九五七・一~一九六一・一〇
だんだん畑第一号 巻頭言
吉村正一郎氏と語る ―成人式の私の思い出―
封建的な青年団
春の雑感
作詩雑話 ―驚いたこと―
詩の中の僕
だんだん畑第一〇号 巻頭言
作品研究
ぼくらはぼくら
前進は直線ではない ―大北君の悩みについて―
詩風報告
Sさんの想い出
だんだん畑第一六号 巻頭言
農基法への疑問
「だんだん畑」五年史 ―ある農村青年集団の記録集― あとがき
上野詩人 一九六二・一二~一九七一・二
詩集・人と作品① 斉藤 峻 「夢にみた明日」
詩集・人と作品②  港野喜代子「魚のことば」
上野詩人 あとがき(抄)
朝日ジャーナル・ほか
▲自由な百姓▼ ある農民詩人のこと
▲自由な百姓▼ 断章・猿について
▲自由な百姓▼ 共同体の崩壊
▲自由な百姓▼ 「一票の重み」私論
▲自由な百姓▼ 殿様農協
批評と紹介 『農業の崩壊と抵抗』薄井 清 開発が猛威をふるう 近郊農村の記録
▲列島診断▼町の声村の声 弱いものいじめの地方行政
青年の文化活動 |市民文化集会報告ノート|
北田一正についての評論
松永伍一著「日本農民詩史」下巻(二) 「第八編 政治志向の現況 第七章 三重の農民詩から」 北田一正の箇所引用
北田一正小論・乾燥列島をめぐって・錦 米次郎
北田一正氏 第二詩集「一つの農民像」出す 胸打つ生産点からの抗議  実験的な風刺をこめて 「一つの農民像」を読む・北田君と農民詩・錦 米次郎
期待される新しい農民詩のにない手  ▽…北田一正氏の周辺…△
「乾燥列島」を読んで・野村 拓
『乾燥列島』を読んで・貝澤治範
音 信・友田多喜雄
『土の詩・ふるさとの詩』作者・伊藤信吉の北田の詩に対する解説(抄)
藤田明著『三重文学を歩く』
年譜
参考
日本の農業が大きく変わっていった時代
編集後記

[担当からのコメント]
農業のあり方が加速度的に変わっていっても、私たちが土と離れて生きることができないのだとすれば、農民詩の中には私たちがもう一度目を向けるべき大切なものがあるのではないかと思います。人間のありようが増々問われるようになる時代、本書に収められた言葉がそうしたことを考えるきっかけとなれば嬉しく思います。

[著者略歴]
北田 一正(きただ・かずまさ)

一九三七年(昭和12年)三重県阿山郡友生村(現・伊賀市下友生)に農家の長男として生れる
一九五五年(昭和30年)上野高校卒業・間もなく乳牛の子牛を飼い始める
一九五六年(昭和31年)小野十三郎の講演を聞く
一九五七年(昭和32年)成人式後に朝日新聞論説委員吉村正一郎と語る機会を得る
     ・「だんだん畑」創刊
     ・「コール・タール」が朝日新聞三重詩壇に入選、詩に関心を持ち始めるきっかけとなる。その後、農業朝日に詩を投稿
一九六一年(昭和36年)「だんだん畑」5年史刊行
     ・上野市制二十周年記念論文に「当面する社会教育の諸問題」が二等に入選
     大江重久との共同執筆による「農業の機械と農村の動き」が三等に入選
一九六二年(昭和37年)「上野詩人」創刊
一九六三年(昭和38年)結婚
     ・友田多喜雄来訪(十二月五日)
一九六七年(昭和42年)「さといも」に一年間詩を投稿
     ・詩集「乾燥列島」出版
一九六八年(昭和43年)第二詩集「一つの農民像」出版
一九六九年(昭和44年)伊藤信吉著「土の詩・ふるさとの詩」に七篇載る
一九七四年(昭和49年)搾乳をやめ会社勤めに出る
一九七五年(昭和50年)錦米次郎来訪
     ・牛の飼育を止める
一九八一年(昭和56年)個人詩誌「荒野」創刊
一九九二年(平成4年)長女の留学先のフランスの農家を訪ね当地の新聞記事になる
一九九七年(平成9年)定年退職する
一九九九年(平成11年)脳内出血で倒れ、半身不随になる

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